第513回 (2014.11.15) 一遍の木像・銅像・石像 三好 恭治 (一遍会 理事) 宝厳寺再建をめぐっての活動の中、「一遍像」に関する情報提供を兼ねて平成二六年一〇月〜十二月の例会卓話で報告した「一遍上人の木像・銅像・石像」の要約である。主要参考書籍は左記である。 @ 禰宜田修善著『時宗の寺々』(1980) A 山田泰弘「一遍上人の木像」(『時宗教学年報』第四輯 時宗教学研究所 1975) B 時宗教学研究所編『時宗辞典』(1989) C 今井雅晴編『一遍辞典』(東京堂1989) 時宗寺院での一遍上人の木像数 東日本(近畿以東) 二一体 近畿 十二体 西日本(近畿以西) 十四体 合 計 四七体 主要寺院での一遍上人木像の有無 宝厳寺(一遍上人生誕寺) 無(焼失) 真光寺(一遍上人入寂寺) 無(不明) 無量光寺(真教上人開祖寺) 有(本尊) 清浄光寺(呑海上人開祖寺) 無 一遍上人の寿像(生前像) @「聖絵」「絵詞伝」に描かれた上人の寿像は正応年間に京都「新善光寺」に運ばれ、一八世紀初頭まで存在した。(『山州名跡志』(1711))) A 弘安四年金光院(現・無量光寺)留錫中、真教・智得・関山兄弟(元・河野家家臣)により彫刻し、上人自ら開眼。無量光寺の本尊として現存。(『新編相模国風土記』) 一遍上人の木像(没後像) @ 国重要文化財一遍上人像としては、宝厳寺木像(文明七年(1475))より古い一遍上人像が円山公園内にある「長楽寺」に現存する。七条道場金光寺旧蔵で、応永二七年(1420)東寺仏師職の康秀の制作。(『時宗の美術と文芸 遊行聖の世界』東京美術1995) A 宝蔵寺像は南北朝時代とのことであるが詳細不明。一七世紀では歓喜光寺像、西郷寺像、一八世紀では万福寺像、一蓮寺像、光触寺像と内子・願成寺像などが挙げられよう。 B 珍しい一遍上人倚像(椅子に坐す)が熊本・願行寺に一例ある。(熊本日日新聞2005・5・2) C 木像の外見の特徴は、鎌倉・室町期は痩せ型、江戸期はふっくら型、明治以降は両者は並存している。一遍上人のイメージが時代の推移とともに変化してきたと考えられる。 一遍上人の銅像・石像 @ 一覧できる刊行書籍は見出せなかった。各寺院の案内書、インターネットから左記の上人像を確認できた。 A 藤沢山清浄光寺(遊行寺)、当麻山無量光寺、岩倉山光触寺、磐田・西光寺、浜松・教興寺、浄土宗西山深草派総本山誓願寺など (注) 現在も調査中です。一遍像の所在、写真のご提供をお願いします。 |
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